いつも気になるのだが、作並駅前のこけし屋さんは、誰のお店だったのだろうか。
作並駅にあった岩松旅館の看板には「真の名湯は多くを語らない」とあって、納得した。
14時前の仙山線上り乗車、快速で二駅目の陸前落合下車。
佐藤さんの工房は、駅から徒歩10分程の場所にある。こけし工房としては抜群に訪問に便利な立地条件で、電車派としては、大変ありがたい。
広瀬川を渡った先の、左に見下ろせる、セメント工場と地繋がりの場所にある。
http://maps.google.co.jp/maps?rlz=1C1LENN_enJP464JP464&q=%E5%AE%AE%E5%9F%8E%E7%9C%8C%E4%BB%99%E5%8F%B0%E5%B8%82%E9%9D%92%E8%91%89%E5%8C%BA%E8%8A%8B%E6%B2%A2%E5%A4%A7%E7%AB%B9%E6%96%B0%E7%94%B0%E4%B8%8B&um=1&ie=UTF-8&hq=&hnear=0x5f8a297dcfd3fd09:0xa173f281d9ccae5a,%E5%AE%AE%E5%9F%8E%E7%9C%8C%E4%BB%99%E5%8F%B0%E5%B8%82%E9%9D%92%E8%91%89%E5%8C%BA%E8%8A%8B%E6%B2%A2%E5%A4%A7%E7%AB%B9%E6%96%B0%E7%94%B0%E4%B8%8B&gl=jp&ei=cWGRT5CqNqiviQfsxOHwAw&sa=X&oi=geocode_result&ct=image&resnum=1&ved=0CCQQ8gEwAA知らないと見過ごしてしまいそうな場所だが、事前にみぃさんに教えてもらっていたので、まっすぐ到着。持つべきものはこけし仲間です。
初めてお会いしたお二人は、まさに「木地師」という言葉が似合う親子でした。
到着するとまず軒先に立てかけてある各種の木材に圧倒される。
工房には、こけしは勿論だが、百万塔、茶道具、酒器、茶筒、横挽きの巨大な盆、そして誰かの注文であろう太鼓のバチや洋風の椅子の脚?、などなど、多種多様すぎて面白い。
お話を聞いている最中、修理依頼の椅子を取りに来た地元のお客さんと一緒になった。
北欧から持ち帰ってきたお気に入りの椅子だそうで、輸入代理店に匙を投げられた脚折れが、見事復元した様を見て、大変喜んでいた。ある日の木地屋風景であります。
作業場や、描彩室で、正廣さんから色々なお話を伺う。木の話、道具の話、技の話、遠刈田こけしの話、職人の機微の話。
各地の工房訪問の度に書いている気がするが、偽らざる実感なので、再び書く。いやー、こけしってこんなに奥が深かったのか!!
東京では、愛好家側からの話は聞けるが、作っている側からの話は聞けない。言われて初めて気づかされることばかりで、目から鱗がポロポロ落ちた。本当に、産地訪問は、毎回がパラダイムシフトです。
遠刈田での弟子時代の修行アレコレや、仙台コマ屋戦国時代(「一軒家」「二軒家」)の逸話等、昔話にも大変コクがあり、産地訪問の醍醐味を味わえた。
こーゆー、叩き上げの、プロ目線からの話ができる人というのは、この先どんどん貴重な存在になっていくのではないだろうか。
決して今の時代に流行る類の商品でも、大儲けできる類の商売でもなさそうに見える。しかし、それでも現代に木地業を営んでいる姿には、強い信念を感じずにはいられず、大変かっこよかった。現代の職人。おこがましい言い方だが、応援していきたい。
そして、その木地師の佐藤正廣さんの後には、佐藤康広さんという跡継ぎがひかえているという事実の心強さ!!
様々貴重なお話伺った後、売り物のこけしを見せてもらう時は、康広さんが色々解説してくれた。
こけしは、まだまだ顔が定まらないらしい。以前の作から近作まであったが、すでに以前の作を見ると満足できないそうだ。
こけしの他の玩具には、薄皮を剥いでいくような入れ子のダルマもあった。確か6体で8000円だったかな。
茶筒なども見せてもらう。0.何ミリの誤差で、ふたを開けると中蓋もついてきてしまう。まさに木の精密機械。木の種類もそうだが、仕上げも、好みでオイルやラッカーや漆や、バリエーション多し。奥が深い。
実は欲しかった、茶筒を購入。小さいのは、持ち運び用に作った、とのこと。ちなみに、そういう仕様で作った固体ではないそうだが、蓋が、置くだけで、スーーッと沈んでいきます。気持ちいい〜〜

蓋と本体との木目が合わないなーと思ってたら、一本の木で作るため、写真の状態で木目が合うように作られている、と教えてくれた。

「2ピースで作って本体と蓋で木目をあわすのも可能だが、木が勿体無い」と言っていた。
「木が勿体無い」という言葉は工人さんからよく聞く言葉で、午前訪問した平賀さんの所でも聞いたばかり。これこそ、現在滅亡寸前の、ものを大事にする古きよき日本の感覚ではないでしょうか??この世界にはそれが息づいているんだなーと嬉しくなる。
ちなみにこの茶筒、5000円でした。皆がどう思うかはわからんが、私にとってはどう考えても安いとしか思えない。一本の木からこんな精密機械のような美しい道具が生まれる事自体が、ちょっと信じられないくらい凄い。
しかもそれが、まだ30代の、普通に同じ時代に暮らしている人の手によって作られているという事実!これは、考えてみると、かなり凄い事ではないでしょうか。私は興奮せずにはいられません。
何点か買ったら、おまけにこけしストラップを付けてくれるとありがたい申し出。こちらは形も模様も顔も、遠刈田のクラシック継承しつつも、定寸こけしより自由に作ったんだろうなーという多種多様のめごこけしの群れ。選べないっす。
↓写真は仙台こけしぼっこさんより
https://twitter.com/#!/kokeshibokko/status/170729652883685376/photo/1気になる防水面は、ラッカーを強く塗ってあるので、かなり丈夫とのこと。ガサツで、ねじ切った前科持ちとしてはありがたい。

底にある穴は?と聞くと、ここからストラップを通しているそうだ。
ちなみにストラップの紐はなんと自家製!一番頑丈な手芸の糸を、お母さんが手でよって作っているそうで、切れることもないし、構造上ネジが外れる事もない。なんという手の込みよう。確か800円だった気がするが、これも話を聞いた後では、安いとしか思えない。色々聞いてみるものである。
そんなこんなで、気がつけば外は暗くなっていた。
佐藤正廣康広さん親子工房、どんな木地商品を作っているのかも確認できたし、貴重なお話もみっちり聞け、逸品も手に入り、大満足。
帰りしなに康広さんが「丸いものなら何でも相談に乗りますんで」という心強い言葉を添えて名刺をくれた。今のところ何も思いつかないが、いつか必ず相談しようと心に誓い、工房を後にした。
